le cafe sympa

　３月も１０日め。ふと見ると、キッチンの（といったってワンルーム）カレンダーがまだ２月のままだった。
　キッチンに飾っているカレンダーは、三越（私、三越娘、もとい、三越おばさんです）地下にあるパン屋「ＤＯＮQ（ドンク）」のものだ。壁に穴は開けられないので押しピンは使えないし、キッチンの壁に貼ったらすぐにテープがはがれて落ちてきたし、考えた末、通販で買ったつり棚に洗たくバサミを使って、各月ごとに折り曲げてその月だけ見えるようにした。
　全ページ、ドンクのデザイナーだったというフランス人ヴァレンヌさんの６０年代から７０年代にかけて書かれたイラストだ。シンプルなかわいい絵ーバゲット（フランスパン）を食べる家族、地下鉄の駅、海辺で日光浴ーなどで、それだけでもフランスの香りが漂ってくる。あー、なぜかとっても熱いエスプレッソとクロワッサンをパリのカフェに座って食べたくなっちゃった！私の生れ月、５月は、私の好きなエッフェル塔のイラストだ。
　このカレンダーは、ドンクが毎年１２月に「いくら以上お買い上げの方」限定で、客にプレゼントしている。違ったかな。
　私は、上記限定でもらったのではない。昨年、クリスマスパーティ用に２本のバゲットを買った。他に買ったものもあったので、長いままだと持ちにくいなと思い、店の人に半分に切ってくれと頼んだ。
　少しして、店の人が真っ赤な顔をして「申し訳ございません。パンを半分に切ったのですが、その半分を床に落としてしまったのです」と謝ってきた。何事なのかと思ったが、「あ、かまいませんよ」と私は落ちたのも買いますよの意味で答えた。しかし、店側は「それはいらない」と取ったらしく、落ちた分を差し引いて、会計してくれた。私がドンクコーナーから出るときに、店の人がレジから出てきて「ほんとうに申し訳ございません。これ、ドンクの０９年のカレンダーです。どうぞお使いください」と渡してくれたのだ。ラッキー！フランスだったら、客の目の前でパンを切ってそれが落ちても、ただ笑うだけで売ると思う。ドンクさん、ありがとう！毎月の絵を楽しんでいます。