BLOW-UP スウィンギング・ロンドンのある一日

2009年03月13日

BLOW-UP スウィンギング・ロンドンのある一日


 部屋にテレビを置いていない私の楽しみは、DVDを見ることである。
 最近見たのが、イタリアの映画監督アントニオーニ・ミケランジェロの「欲望 BLOW-UP」だ。
 1960年代半ば、「スウィンギング・ロンドン」といわれたロンドンが舞台。人気カメラマンが公園で戯れていた恋人たちの写真をとって、あとで引き伸ばす(Blow up)とそこには、戯れていたカップルの男性の死体が写っていた。
 何の前知識もなく(映画はその方が返ってくる感動も大きい)、若き日のヴァネッサ・レッドグレーブが出ているので、ただただそれを楽しみにしていたのに、なかなか出てこなくて、カメラマンの撮影風景などで少々退屈気味であったが、公園での写真を何度も引き伸ばして、死体を確認していくところから俄然、面白くなってきた。こちらも一緒に引き伸ばした写真を確認しながら、どきどきした。
 アントニオーニ作品は、アラン・ドロンとモニカ・ヴィッティが出ていた「太陽がひとりぼっち」もそうだったが、その場所の風景をとらえ、その中に人物がいて、セリフ、音が少ない(この映画はハービー・ハンコックの音楽がものすごくおしゃれだが)。公園で写真を撮っているシーンは、サウンド無しで風にゆれる木の葉のざわざわという音がBGM代わりである。その音が画面を通して伝わり、ロンドンのどこかの公園にいるような気になった。
 セリフ、音の少なさの「静」と、「スウィンギング・ロンドン」といわれた当時のサイケデリックなかっこうをした若者たちの「動」との対比が印象的だ。
 この映画は1967年のカンヌ映画祭パルム・ドールを受賞している。
 エリック・クラプトンが抜けて、ジミー・ペイジとジェフ・ベックがいたころのヤードバーズのライブハウスシーンがある(初めストーンズかと思った)。今はフランス女優として知られるジェーン・バーキンがカメラマンの追っかけてで出ている。製作はソフィア・ローレンの夫だったカルロ・ポンティ。出演者、スタッフの名をあげただけでも見る価値があるし、何度も見ていくうちに、映画の核心がわかっていく映画だと思う。


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Posted by ダイアン・M at 00:21│Comments(2)DVD劇場
この記事へのコメント
ダイアンさんの文章で、すでにもう見たくなってうずうずしています(^^)好きです。ダイアンさんの文章!
Posted by 本村ひろみ本村ひろみ at 2009年03月13日 22:41
本村さん、ありがとう。私も本村さんのブログ、特に書評とか好きです。
このブローアップのことを書いているとき、「ロンドン」だから、もっちゃんが飛びつくだろうなと思いました。
でも最初は「なんじゃこりゃ」と思ったよ。
Posted by ダイアン・Mダイアン・M at 2009年03月14日 01:16
 
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