「アメリカあげます!」

2011年04月10日

 「アメリカあげます!」



 山本コウタローは、20歳前後のころ、私の教祖さまみたいなものだった。今、彼の名曲「岬めぐり」を歌いながらこのブログをアップしている。あーなんていい歌なんだろ。
 さて、本題。なぜ、コウタローを教祖さまみたいに思っていたのか。つきつめれば、ああいう考え方の人を尊敬していたのだ。つまり、リベラルで個人主義(利己主義ではない)。権力に対して常にアンチで、マイナーをこころがける。コウタローはそういう人というイメージ、当時の言動からそう思っていたのだ。過去形になったけど、そういう人だったと思う。

 この「アメリカあげます!」(小学館)は、コウタローに関心を持ち始めたころに出版されたのですぐに買ったと思う。コウタローが1978年から1年半、ロサンゼルスに住んでいたころの記録である。実家の本棚にずっとあったのだが、手にとって読み返したのは30年ぶりぐらいだろう。今回読んで驚いたのは、コウタローの「アメリカ礼賛」ぶりである。いやあ、こんなに「アメリカ万歳!していたんだ」と思った。彼は、滞米中、ずっと当時(出版は1980年)のブームであったウエスト・コーストにいて、リベラルな、例えば古くは公民権運動とか、ゲイ解放とか、自然食とかそういった今につながる「左」的な街のアメリカを多く見ていて、世界のN・Yはあまり「合わない」と書いているところが意外であったが、それでもアメリカに対する批判的なものがないのにはびっくりだ。

 彼ら、全共闘、日本のベビーブーマーたちはアメリカ文化の洗礼を受けて育っているからそれは当然といえば、当然かもしれない。しかし、彼らダイカイの全共闘はまた、ベトナム反戦でアメリカ「帝国主義」的な権力も毛嫌いしたのではなかったか。それだけにコウタローの「礼賛」ぶりは印象的。コウタローはノンポリだったんだね。「アメリカ」の自由さというのは何にも代えがたい魅力があったのだろう。私もそれに惹かれたし。

 黄ばんだページのところどころ、そんなに多くはないが、当時の私が青ペンで線を引いたところがある。それが動物愛護に関するところだったりして、そんなに動物好きでもない私は、「ほんとかよー」と一人で昔の自分にツッコンでいる。

 ま、30年ぶりに読み返しての感想は、コウタローも普通のおじさん。きれいなねーちゃんがいたら、今では「セクハラ!!!」と言われそうなことを書いているし、私も青臭かったんだねー。

 コウタローのパートナーは、映画評論家の吉田真由美さん。彼女の方が「骨」のある人だ。1982年ごろ、リチャード・ギアの「愛と青春の旅立ち」が大ヒット。しかし、彼女はこの映画のコメントで「しょせん軍隊を舞台にしたもの」みたいなことを言って否定的な意見だった。私も戦争、軍隊はいやだが、これはいい映画だったし「たかが映画でそんなに言わなくても」と思った。ま、筋金入りだが、ガチガチではない。明るく自由人という感じ。先日、ネットで山本夫妻の写真を見た。愛犬と一緒にじゃれている吉田さん、後ろでにこにこ笑いながら見守るコウタロー。おだやかなダンカイカップルだ。

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Posted by ダイアン・M at 22:05│Comments(0)私の本棚
 
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