メリル、サッチャー
2012年04月07日
4日の水曜日に夕飯も食べ終え、散歩がてらに実家に歩いて行った。両親はちょうど食事をするところ。母が皿におかずを盛りつけながら、「サッチャーの映画見た?」と聞いてきた。私が返事をしないうちに、彼女はつづけて「Eちゃん(彼女の小学校からの友人、教師だった)が見てきたんだって。”どんなだったー?”って聞いたら、”あんた(のこと)さー”って言いよった」と彼女は話した。
それを聞いて、妹と私は「いったい、どんなところが母と(恐れ多くも大英帝国の初の女性宰相)サッチャーは似てるのかしら?いばやー?」と二人でこそこそしていると、母は「あんたさー」が気になるらしく、「見てこない」と私たちを誘った。
前振りが長くなったが、こういう経緯で(そうでなくても見る予定でしたが)、今年、大女優メリル・ストリープが久々にオスカーの主演女優賞を取った「サッチャー~鉄の女の涙」(フィリダ・ロイド監督)」を、那覇メインプレイスの映画館で見てきた。
ウィークディの夜10時近い開演だからか、観客は私と母を含めて(妹は行かなかった)10人足らず。
映画を見ながら、私は、そして多分母もいったいどこがサッチャーと母が似ているのだろうと考えた。
・父親を崇拝しているところ?(母は70を過ぎても、妻、母親という役割より今年100歳になる祖父の総領娘という部分が強い、と私は思う)、
・母も男社会の組合で頑張ってきたところ?(かつて、組合の女性部長(当時は婦人部長)をしてた彼女は、男はある年齢が来たら、チョンでも課長になれると言っていた)。
・社会をよくしようとしているところ?(自分がいいと思ったら、人にとうとうと説明するのはウチの母。信念を貫くというおおげさなものではないが、自分のいいものは絶対いいと信じる人。それがあなたも幸せにすると思う人)
・名前が似てる?(サッチャーは苗字だが、ウチの母がサチ子)、まあこれはおふざけ。
中のいいEちゃんは映画を見ながら、前向きなところに私の母との共通点を見出したのだろう。
そんなことをつらつら考えながら見ていたが、いつしかメリル・ストリープの演技に引かれていった。映画自体の組み立てはどうってことないと思うが、メリルの老いたサッチャーの歩き方、座り方、後ろ姿。それから首相時代の男性の閣僚を叱責するところなんて、素晴らしい。
どんな役でも「メリル・ストリープ」という存在を忘れさせるほどいつも役にのめり込む彼女だが、この映画は「渾身の力で演じている」というのもうなづける。これこそまさに主演女優賞だ。
映画が終わり、私も母ももう「あんたさー」のことは忘れ、二人とも「メリル・ストリープがすごかったねー」と感動しまくりでした。
Posted by ダイアン・M at 11:35│Comments(0)
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